OK!工事くん 今日も飛び込みセールスマンのお話しです。
飛び込み営業マン 屋根の上に輝いた太陽熱温水器への思い。
若い頃、出張で新幹線移動する事が多くありました。
その流れ行く車窓から見えてくる風景は他の人とは違う風景を見ていたと思います。
オ-ル電化や太陽光発電など販売をしていなかった時代、
太陽熱温水器の販売に明け暮れていた日々です。
車窓から見える風景には太陽熱温水器が屋根の上にどこまでも設置されています。
屋根に乗っている太陽熱温水器には営業マンの思いがのせられています。
現場で飛び込み営業マンとして働いた人達の、
夢というか思いがあの太陽熱温水器にはあるのです。
厳しい世界で働き消えていく、そんな男たちにも様々な物語があります。
今日は一人のお父さんのお話しをさせていただきます。
背負っているお父さんの精神力には負けます。
勤めていた会社の休日が毎週日曜日、第2、第4の日月が連休となっていました。
業務スタッフや内勤管理職は休めますが現場で働く営業マンはそうもいかず、
売上の悪い支社は当然仕事をしなければならないような雰囲気があります。
当時、私は東京本社(恵比寿)で仕事をしていたのですが毎週休まない営業マンがいました。
その男はAさんということにしておきます。
職場の販売業績は比較的順調だったので普段は社内カレンダーどおりの
休日をできるだけとらせていました。
キャンペーンで全国優勝がかかるような時は業績が良くても休日出勤は当然あります。
私は支社開設の連続で面接対応や会議、新人営業研修などで当時はほとんど休んだ記憶がありません。
しかし現場を預かる人間として兵を休ませることがどれだけ大事な事かは分かっています。
『分かっています。』という言葉が、既に世間一般からするとズレいるのですが、
しかし当時は社内競争が激しく管理職も自分の保身が大事で
営業社員を休日出勤させる事も度々ありました。
週明けの朝礼前にAさんが私の机の前へやってきて1本契約があがりましたと契約書を渡しにきます。
Aさん仕事をしたの? 『はい』仕事をしましたと答えます。
先週も仕事をして休まなかったではないかと言うとまた返事が返ってきます。
『はい』そして席に戻っていくのです。
このようなやりとりは他の社員との間でも日常的にはあるのですが、
しかしこの男はよく働いていました。
平均月に20本ぐらいは結果をだしています。
多い月で25本~30本ぐらいの太陽熱温水器を販売します。
福岡出身で年齢は55才は過ぎていたかと思います。
会社の寮に寝泊まりしながら家族を福岡に置いての飛び込み営業です。
この年齢での単身赴任をしながらの飛び込み営業はかなりキツイと思います。
特段の営業力があるわけではありませんが人が休んでいる時も
努力を惜しまずにコツコツと数字を積み上げてきます。
ある晩、Aさんと寮で飲んでいると家族の話しになりました。
Aさんは少し酔いがまわっていたのかぽつりと話し始めたのです。
親ばかですが娘が小さい頃から勉強ができて、
いま広島県の医科大学の学生であると話し始めたのです。
将来医者になりたいと言っているんですよ、
ごらんのとおり何の力もない父親の娘ですが……。
しかし何としても娘の夢を叶えてやりたいと思っていると語ります。
焼酎のお湯割りを飲みながらぽつりぽつりと語っていきます。
日頃の疲れが溜まっていたのでしょう。
そのまま寝息をたてて眠ってしまいました……。
Aさんは決してストレスが溜まっていた訳ではありません。
父として背負っている大きな荷物を、その夜は誰かに聞いて欲しかったのでしょう。
会社には優秀な営業マンがゴロゴロいるような職場です。
しかしAさんのような男にはどこか勝てないなと思いました。
あの夜から何年か経過してからAさんの娘さんは大学を卒業をして
Aさんも故郷の福岡へ帰り幸せな生活を送っていると人伝に聞きました。
確かにAさんならそうなっている、あの男が報われない訳がないと思いました。
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