元請 E株式会社


OK! こうじくん salesmanship practice story
元請 E株式会社

OK!工事くん 今日も飛び込みセールスマンのお話しです。
https://okkouzikun.com/salesmanship-42/
飛び込み営業マンは常にアポなしで入り即決を基本としています。
物事に弱気な営業マンはこの世界では成功をしません。
強い意志で戦うマインドがあるから、それにふさわしい営業ト-クの技術が身に付きます。
しかし、状況によっては柔軟に対応をする事も必要です。
あなたが単独で営業展開を行っていて比較的に自由に動ける立場の営業マンとしましょう。
販売する商品の価格によっては、即決にこざわって無理意地してしまうと
そのゴールが遠ざかってしまう場合もあります。
リフォーム案件で高額な価格の商材を扱っている場合は、
その日の即決を無理意地せず返事待ちとしたほうがよい場合もあります。
ただその人柄が=弱気からでた人柄ではダメです。
強気で攻めてお客様もほぼ納得ができた状態であることが前提となります。
では何故その日の契約を諦めた方が良いのでしょうか?
リフォーム案件で200万円を超えて高額な金額の契約になっていく場合、
お客様は即決できない理由として2~3日考えさせてくれと言います。
考えさせてくれ 理由2つ
営業マンは月々の支払いについて生活に負担をかけないようにロ-ンを持ち出しすぎますが
そこはお客様の心理を見極め察してあげる気持ちが大事です。
商品購入には納得をしていたが支払い方法については検討したいという事なのです。
自分たちの懐事情をあまり営業マンには聞かれたくないので夫婦でよく話合いたいという心理です。
営業マンを外して夫婦二人で支払い方法について確認をしたいのです。
そこの気持ちを見極め察してあげる事があなたの人柄となって伝わっていくのです。
それは弱気な人柄ではくまた弱気な保留ではありません。
前向きな保留となります。戦術的保留です。
購入する商品やリフォーム工事には納得している。
そしてあなたの人柄も気に入られていると感じていたならば、
そこはお客様を信じてその場の即決を避ける勇気も必要です。
無理意地し即決で決めて後でキャンセルになるより
ここは勇気をもってお客様に時間をあげた方が上手く事が運ぶこともあります。
ここの見極めは非常に大事になってきます。
最後に
契約は決まるものは決まるのです。
OK!工事くん 今日も飛び込みセールスマンのお話しです。
新人の飛び込み営業マンが即決について悩む事があるかと思います。
今回はその事について私なりのお話しをさせていただきます。
何故即決できないか?
その要因は3つあります。
内気、弱気が悪いとは言いません。内気な性格で声は大きくないが芯がしっかりしていて物事をとおしていくタイプで営業成績を上げていく営業マンもいます。
問題は自分の仕事に未だに自信持っていない人です。真面目な人に多くみられます。
飛び込み営業マンを初めてまだ日が浅く、経験がない中で即決のコツをまだ得とくしていない人です。
この仕事に誇りをまだもてなく、販売する商品に自信が持てない、お客様のお役にたてるかどうか疑心暗鬼の人は苦労します。
また飛び込み営業でチ-ム制をとっている会社は後追い営業ができない場合もあります。
そういう場合はキャンセルを食らうのではないかと心配するより、良くも悪くも思い切ってお客様に判断を仰ぐ攻めの姿勢でクロ-ジングをするべきです。
それでもダメで即決できない時は職場を変え自分にあった営業の職場を見つける事です。
飛び込み営業マンは揺ぎ無い心理でお客様に金額を提示するべきです。
価格を伝える時の不安な心理
・相見積もりで負けるのでは……。
・広告ちらしにはもっと安い価格が……。
・インターネット価格を調べられたら……。
お客様は価格だけで購入を決めるのではありません。
演歌歌手の歌声は声が良いだけではヒットしません。
当然歌う曲の詩が良くて最後の盛り上がりにこぶしがきく声で歌いあげていきます。
そして聴く人の心を感動させるのです。
例えば石川さゆりの歌う『津軽海峡冬景色』をイメージしてみてください。
飛び込み営業マンもまったく同じです。
その商品を使ってみたい、そのリフォーム工事をすると生活環境がどう変わるのか夢を語って下さい。
あなたの説明が単調な話しになっていませんか?
クロ-ジングの時間はお客様が主役ではありません。
あなたがその時間帯の空気を支配するのです。演出するのです。どういう演出をするのか? それは営業マンによって皆違ってきます。
お客様の心理は常に穴熊のように穴の中に入っています。
それを少しずつほぐし穴から出てこさせなくてはなりません。
OK!工事くん 今日も飛び込みセールスマンのお話しです。
OK!工事くん 今日も私の独り言です。
東京の下北沢支社は24時間風呂事業部の販売拠点でした。
この事業部は太陽熱温水器の一戸建て狙いとは違い、主に都心の集合住宅をターゲットにしていました。
私は新規事業部の責任者として立川支社、中野支社、そして下北沢支社と拠点開設の展開をしてきていました。
当時は会社の知名度もあり求人募集をすると300名400名と新規支社開設一期性として面接の求人募集が集まってきた時代です。
営業マンの採用も個性的な人材がたくさん採用できた時代です。会社には勢いがあり、人はまさに玉石混交の職場となっていました。
ある朝、緊張した雰囲気の中でこれから朝礼が始まろうとしていた時に事件は起きたのです。
男5人がいきなり事務所に乱入してきて社員のK君をいきなり連れだしていきます。
社員K君が逮捕されたのです。
何事が起きたんだと戸惑っていると、すぐさま刑事が私に話しかけてきました。
K君んは詐欺行為をはたらいたという事で逮捕しますと言います。
私の心に動揺が走り、どこで詐欺をしたのか……。
お客様に迷惑を与えていないだろうか……。
いきなりハンマーで頭を殴られた気持ちになりました。
とりあえず朝礼をやめ、社員を送り出した後に刑事さんの話しを聞く事にしました。
K君は中野支社の一期生で入社をしてまだ3か月目の社員でした。
話が巧みでこれから伸びていきそうな営業マンになると思い、私が下北沢支社へ連れてきていました。
そこそこの数字を叩きだしていたのです。
刑事さんの話しでは、入社前に横浜のスナックで詐欺行為をしたと説明をしてくれました。
K君の実家は八王子だったのですが会社の寮に入居していて、ようやく居場所が判明したという訳です。
それから数日経ったある日にお母さんと弁護士が事務所に訪ねてきました。
お母さんは涙ながらにK君の事を語り始めます。
K君のお父さんが他界したあと一人息子を大事に育ててきたそうです。
一生懸命働いて大学まで卒業させたのに、今回の逮捕がまだ理解できないで苦しんでいると言います。
お母さんは元教師をしていた事も話されました。
女手一つでしっかりと育てたのに何故という思いです。
K君は横浜あたりの飲食街で肩書は弁護士を名乗っていたそうです。
弁護士という肩書で名刺を渡し飲食代の付けをためて踏み倒していたと聞かされました。
弁護士は裁判が始まるのでK君の嘆願書を書いてほしい、
そして出所後にこの職場でもう一度受け入れてほしいとの頼みです。
お二人のお話しを聞く中で、歎願書のお話しは引き受ける事にしました。
後日、このお母さんと同伴をして警察署から小菅の東京拘置所に
K君の面会に行くことになり差し入れもしてあげました。
面接から出会ってまだお互いの事が理解できていない社員に
何故ここまでする必要があるのかと自分でもよくわかりませんが
お母さんの気持ちを察するれば短い間柄でもこれも縁だと思ったのかもしれません。
こういう職場で働いているといろんな人間模様があります。
ハッキリ言って履歴書と面接だけでは見抜けない人もいます。
私なりにどのような社員であろうと最後まで見届ける気持ちがないと
集団を束ねていく事はできないと思っています。
K君は出所後に別会社へ勤め飛び込み営業を始めたのですが
上手くいかず退職をしました。
それから数年経ち、K君はまた同じ過ちを繰り返したという話しを人伝に聞きました。
今度は違う肩書での詐欺行為だったそうです。
あのお母さんは……と思うと何とも言えない気持ちになりました。
本当にバカな奴だ。 いまだに苦い思い出として残っています。
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OK!工事くん 今日も飛び込みセールスマンのお話しです。
若い頃、出張で新幹線移動する事が多くありました。
その流れ行く車窓から見えてくる風景は他の人とは違う風景を見ていたと思います。
オ-ル電化や太陽光発電など販売をしていなかった時代、
太陽熱温水器の販売に明け暮れていた日々です。
車窓から見える風景には太陽熱温水器が屋根の上にどこまでも設置されています。
屋根に乗っている太陽熱温水器には営業マンの思いがのせられています。
現場で飛び込み営業マンとして働いた人達の、
夢というか思いがあの太陽熱温水器にはあるのです。
厳しい世界で働き消えていく、そんな男たちにも様々な物語があります。
今日は一人のお父さんのお話しをさせていただきます。
勤めていた会社の休日が毎週日曜日、第2、第4の日月が連休となっていました。
業務スタッフや内勤管理職は休めますが現場で働く営業マンはそうもいかず、
売上の悪い支社は当然仕事をしなければならないような雰囲気があります。
当時、私は東京本社(恵比寿)で仕事をしていたのですが毎週休まない営業マンがいました。
その男はAさんということにしておきます。
職場の販売業績は比較的順調だったので普段は社内カレンダーどおりの
休日をできるだけとらせていました。
キャンペーンで全国優勝がかかるような時は業績が良くても休日出勤は当然あります。
私は支社開設の連続で面接対応や会議、新人営業研修などで当時はほとんど休んだ記憶がありません。
しかし現場を預かる人間として兵を休ませることがどれだけ大事な事かは分かっています。
『分かっています。』という言葉が、既に世間一般からするとズレいるのですが、
しかし当時は社内競争が激しく管理職も自分の保身が大事で
営業社員を休日出勤させる事も度々ありました。
週明けの朝礼前にAさんが私の机の前へやってきて1本契約があがりましたと契約書を渡しにきます。
Aさん仕事をしたの? 『はい』仕事をしましたと答えます。
先週も仕事をして休まなかったではないかと言うとまた返事が返ってきます。
『はい』そして席に戻っていくのです。
このようなやりとりは他の社員との間でも日常的にはあるのですが、
しかしこの男はよく働いていました。
平均月に20本ぐらいは結果をだしています。
多い月で25本~30本ぐらいの太陽熱温水器を販売します。
福岡出身で年齢は55才は過ぎていたかと思います。
会社の寮に寝泊まりしながら家族を福岡に置いての飛び込み営業です。
この年齢での単身赴任をしながらの飛び込み営業はかなりキツイと思います。
特段の営業力があるわけではありませんが人が休んでいる時も
努力を惜しまずにコツコツと数字を積み上げてきます。
ある晩、Aさんと寮で飲んでいると家族の話しになりました。
Aさんは少し酔いがまわっていたのかぽつりと話し始めたのです。
親ばかですが娘が小さい頃から勉強ができて、
いま広島県の医科大学の学生であると話し始めたのです。
将来医者になりたいと言っているんですよ、
ごらんのとおり何の力もない父親の娘ですが……。
しかし何としても娘の夢を叶えてやりたいと思っていると語ります。
焼酎のお湯割りを飲みながらぽつりぽつりと語っていきます。
日頃の疲れが溜まっていたのでしょう。
そのまま寝息をたてて眠ってしまいました……。
Aさんは決してストレスが溜まっていた訳ではありません。
父として背負っている大きな荷物を、その夜は誰かに聞いて欲しかったのでしょう。
会社には優秀な営業マンがゴロゴロいるような職場です。
しかしAさんのような男にはどこか勝てないなと思いました。
あの夜から何年か経過してからAさんの娘さんは大学を卒業をして
Aさんも故郷の福岡へ帰り幸せな生活を送っていると人伝に聞きました。
確かにAさんならそうなっている、あの男が報われない訳がないと思いました。
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OK!工事くん 今日も飛び込みセールスマンのお話しです。
WEBサイトの中には飛び込み営業は科学だと説きビジネスを展開しているセミナーがあります。
まったく否定はしません。
私の時代にそういう研修があったら是非とも受講したかったと思います。
私もTEXTBOOK OF SALESMANSHIP(日本語訳 柳平 彬)
営業マンとしてこの本を心のバイブルにしています。
若い時はセ-ルス本、マネジメント本からランチェスター戦略などの本も好きで読み漁りました。
しかし、ひとたびテリトリーに入るとそんな理論は木端微塵に
砕かれてしまう思いしかありませんでした。
営業を科学する講師陣たちは本当に訪問販売を長年経験をして
実績を積み上げてきたのでしょうか?
そのことがまず疑問です。
テリトリーに入ると現実の壁は牙を研ぎ澄まして待っています。
私はその現実の中で、何人、何十人、何百人という社員が離脱していく姿を見ました。
辞めていく理由は様々あります。
飛び込み営業を行うこと自体がブラック企業と言われればそうでしょう。
目の前に広がる新興住宅街を目にして足が立ちすくみ
この家並みを征服できるのかと自分に襲い掛かるプレッシャーから逃げたくもなりました。
大きな門構えの屋敷の前に立った時は、常に現実の自虐感を感じさせられていました。
猛吹雪の日、台風の日、真夏の炎天下の日も汗をびっしょりかきながらの行う営業を行っていました。
特にクリスマスイブの日の飛び込み営業は孤独感で一杯になります。
雨上がりの夜、冬の夜、全ての夜間訪問は慣れる事はない恐怖でした。
こういう体験をしていると現実は営業を科学できないのです。
どれだけ身につけたテクニックも理論も厳しい現実の前では役にはたちませんでした。
飛び込み営業マンは辛い仕事である事には間違いはありません。
この仕事をやろうと決めてから自分との闘いの日々が始まりそれは闘争の日々でした。
現実から目をそむけ逃げたくなる弱い自分との葛藤の日々です。
そんな弱い私はいつもこう考える事にしていました。
飛び込み営業に耐えていた私ですが、私はそんなに不幸な男? 孤独な男かと?
本当に飛び込み営業マンの世界は厳しいのかと自問自答します。
もっと厳しい世界は世の中に溢れるぐらいあるのではないか?
お前の考えている辛さや厳しさはただのお前自身に対する甘えだろう。
もっと厳しい世界で戦っている人達がいる事を
知るべきだと自分に言い聞かせていました。
例えば銀行借入資金でビジネスを始める自営業者です。
借入資金を投資して飲食店なり経営をしてみれば分かると思います。
(2018年度飲食店の倒産、休廃業、解散件数は1180件というデ-タがあります。)
売上、人件費、固定費、税金、運転資金、に悩みながらお客様が来ないと借金が膨らんでいきます。
軌道に伸るか反るか、負け組になれば全てを失うかもしれません。
そう考えればどれだけ飛び込み営業マンは恵まれて楽な仕事であるかと思います。
お客が来ないからこちらからお迎えにいくお仕事です。
負けても最低給与は頂けます。
最悪クビになっても全て失う事もありません。
転職で話は片付ける事ができます。
契約がとれないで悩む話は小さい事なんです。
ノルマも小さい話しです。 達成しなくても大丈夫です。
営業を科学するセミナーにお金を払って参加する必要もありません。
会社のイメージが立派で安定を求めて入社した人、
福利厚生も賞与も期待していたかと思います。
でも現実は上手くいかないですよね。
そういう安定志向を希望し会社に入社をして飛び込み営業をしている人は、
大半思うように契約はあがりません。
もう一度自分の気持ちをリセットしてみる必要があります。
飛び込み営業を展開している会社はあなたを守ってくれる事はありません。
だからといって会社批判を始めても問題解決には程遠くなります。
売れない営業マンがブラックだとかなんとか
愚痴を吐いても仕事が前に動くことはないのです。
私は飛び込み営業の会社はブラックでもいいと思っています。
販売する商品が正しく自信の持てる商品であれば、
結果に対してのコミッション還元率が高ければOKです。
飛び込み営業ができる環境さえしっかり整えてくれれば
会社の役割が果たせていると思います。
額に汗して頑張った結果に応えてくれれば長時間でも働けます。
誰の為の仕事、会社? 違います。それは自分の為の仕事だからです。
飛び込み営業の心理は簡単。
稼げると仕事が面白しろいのです。
そして人生は長いようで短いのです。
今ここで長時間労働で働いてもあなたに確固たる将来の目的意識があれば問題は解決されます。
私は優秀な飛び込み営業マンが企業を立ち上げていく姿を何人も目撃をしています。
そういう男達は飛び込み営業の仕事は誰の為に行っている仕事かハッキリしていました。
働く動機付けを各自もっているし自分を大事にしているからビジョンをもっています。
成約も上がるし、雇用している会社も喜びます。
誰の為にこの会社で飛び込み営業をしているのか問い直ししてみてください。
たとえ長時間労働になったとしてもあなたの思考次第で問題は解決します。
三重県松阪市からかなり郊外で数十件の家並みを発見した時のお話しです。
季節は12月に入っていた夕暮れ頃です。
私は契約を上げたい一心でテリトリーを探していました。
たぶんジャンバ-を着ていたから少し寒かった日だと思います。
山を後ろに背負った感じの何件か古びた家並みを見つけたのです。
前のテリトリー新興住宅街での訪問活動は惨敗でした。
このままではコケル。 私は焦って営業車で移動をする事にしたのです。
営業車を飛ばしテリトリーを探していると、この家並みの風景が飛び込んできたのです。
いける! これは決まるぞ。と、 直感的に感じるものがありました。
飛び込み営業を経験していくとやはり匂いというか直感的な勘が働きます。
山を背に南側の道路へ向かって数十件の家が建ち並んでいる風景です。
販売する商品は太陽熱温水器。
狙えそうな家が2~3件あると判断しました。
しかしここは全て叩こうと自分に言い聞かせ飛び込みを開始しました。
最初の訪問で予感が見事に的中し1本契約があがりました。
時間にして40分足らずで決まったのです。 ご夫婦そろっていい人でした。
二人とも工事を楽しみにしている雰囲気があったので、お客様にどこか紹介して
くれるお家がないかと尋ねてみる事にしました。
奥様が私達の後ろの家はいとこだから寄ってみなと言われました。
それともうひとつアドバイスをいただきました。
奥のどん突きの家はご主人が難しい人だから止めておけとのことでした。
そしていとこのお家も決まりました。
1件目の奥様が玄関口までついていってくれての商談です。
正直言ってクロ-ジングはまったく必要ありませんでした。
奥様が途中からお話しをしてくれて契約が決まりました。
一緒に設置しょうという事になったのです。
これで満足してはならないと自分に言い聞かせて他の家もまわる事にしましたが、
残念ながらあとの何件かはやはり警戒心があって断られました。
最後に残ったのはどん突きの家です。少し離れた平屋のあの家です。
奥様の止めておいたほうがよいというアドバイスもあったのですが
ここは飛び込み営業をする人間の性です。
全て叩こうという意志を貫徹する為に訪問する事に決めました。
すっかり暗闇になっています。
田んぼのあぜ道をトボトボと歩いて坂を上り玄関口までたどり着いたのです。
あれっ。 やけに静かだな、家族はいるのかなと? 思いながら、『ごめんくださ~い』
『こんばんわ』と大きな声をかけていると家の中から入って来いと呼ばれました。
入っていくと薄暗い畳の部屋でご主人が一人酒を飲んでいました。
何の用だと質問をされたので訪問目的を伝えると。
むくっと立ち上がり静かにこちらに歩いてきます。
顔見ると相当酔いが回っている……。
嫌な感じだなと思いつつ予感は的中しました。
次の瞬間胸元を蹴り飛ばされました。
まさか蹴り飛ばされるとは思っていなかったので一撃で
私は土間に尻もちをつき驚いていると『とっとと帰れ!』怒号が飛んできました。
言い返したくはなかったのですが、これは暴力です。
いくらお客様でもと思いつつ腹立たしい気持ちが襲ってきます。
何て言い返したのかは覚えていませんが、しかし訪問したのはこちらの都合です。
酔っ払っている相手に喧嘩をしても始まりません。
ここは早々に退却しょうと思い家を出ました。
悔しい気持ちが冷めない中で歩いていると
先程のアドバイスが今さらのようにわかった気がします。
頭が怒りで一杯になり歩いていると今度は背後に何かの気配を感じました。
誰かが私の後を追いかけてきます。 振り返ると野犬が2匹。
野犬2匹が唸り声をたてながら私に襲いかかろうとしています。
そのうちの1匹があたかも挑戦権を得たように前へでてきます。
これはヤバイ ヤバイ 襲われると思いつつ、今度は怯む訳にはいかないと自分を奮い立たせ
わっぁ-と大声を出しながら追い払う振りをして前へでました。
その行動に野犬2匹は一瞬怯んだのです。
それを見た私は野犬相手に追いかける勇気もなく、
全力で坂道を駆け下りて逃げたのです。
危なかった! 危機一髪が2度も続きました。
契約が2本もとれた現場でしたが最後にこういう結末が
待っているとはと夢にも思っていませんでした。
OK!工事くん 今日も飛び込みセールスマンのお話しです。
私が営業統括本部長として1850名の頂点に立ち様々な営業マンの実績を見てきました。
この会社を退職していた社員も含めて相当な人数の営業マンがしのぎを削っていました。
全国の120支社からこれでもかという化け物のような数字を毎回叩き出す男がゴロゴロ現れてきます。
しかし伝説の男を語れと言われればこの人物しかいません。
人物の器も含めて化け物のだったと思っています。
この人物は会社の創業者で恐怖の伝説の飛び込み営業マンです。
恐怖というのは私の言い回し方で誤解をしないでください。
怖いという意味ではありません。
いや当然怖いのですが……。
怒る時も笑う時も人を圧倒する気を持っている人物です。
ものすごい人垂らしでその人物が来ると周りの空気が変わってしまうほどの迫力がありました。
その人物がある事情で四畳半のアパートに住むことになり、
そこからこの会社のサクセスストーリーが誕生します。
四畳半のアパートから身を起こし、副社長と二人で熊本の太陽熱温水器メ-カ-へ行き土下座で直談判を行いOEMで商品を無償で作らせる事に成功します。
いきなり飛び込んできた二人にメ-カ-の社長は勢いに圧倒されながら迷っていると、
横にいた奥さんがこの二人面白いから売らせてみたらという話しになったそうです。
とは言えどこの馬の骨かわからないのでとりあえず住民票をもってこいとの話しになり大分へとんぼ返りし住民票をとりに行き無事商品の供給に成功するわけです。
そして二人の猛烈な飛び込み営業が始まります。
販売するにも商品カタログがない、信販契約(クレジット契約)もないという環境からのスタートです。
飛び込んだ先のお客様に商談成立後、事情を説明をして設置前の現金払いをお願いしたと言っていました。
当然、お客様は仰天します。
飛び込んできた営業マンから先に現金を支払ってくれと言われるのです。
施工後であればわかるが先に支払ってと言われれば詐欺かと疑われても仕方がありません。
しかしこの人物には何故か人を説得させる大きな力が宿っています。
事務所なし、営業車なし、金なし、信用なし、商品なし、パンフやカタログなし、全て無しからの始まりでした。
本当は0からのスタートではなく実際はマイナスからのスタートだったと聞いています。
二人で契約は取るまで帰らん精神です。
最初は求人募集する金もなかったので現場で出会う営業マンを誘っては家に連れて帰り焼酎を飲ませては口説いて仲間を一人ずつ増やしていきました。
四畳半のアパートからスタートした会社はいずれ900億近い売り上げを誇る訪販会社と成長していきます。
世の中にトップセールスの実績を吹聴する人間は数多くいますが、裸一貫で何もない環境から900億近い売り上げを叩き出したのです。
恐るべきこの人物が日本史上最高のトップセールスマンだと私は思います。
私のプロフィールを読んでいただければ会社名が出ています。