飛び込み営業マン 男たちの挽歌。

雑記
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OK!工事くん 私の独り言です。

自分で言うのも何ですが私はキャンセルを食らわない営業マンでした。

またノルマがどんなにきつくてもテンプラオーダーは出した事がありません。

と言うのも私が勤めた会社はプレッシャーがかなりあり、営業マンの中には

苦しまぎれにテンプラオーダーを出している人達もいたのです。

しかし、その私にアドバイスをしてくれた男がいます。

『お前テンプラオーダーを出さないと潰れるぞ』という忠告をしてくれたのです。

その忠告をしてくれた男が田上龍一という男です。

田上さんは熊本出身でまさに九州男児でした。彼は酒を飲むとふるさとの話しをよくしてくれました。

熊本県水俣市不知火町が故郷で酒を飲むと不知火町のイカ釣り舟の漁火が

何とも言えないぐらい美しい風景だと語ってくれました。

その美しい海の街、不知火町は過去に水俣病発症という悲しい出来事があり

田上さんの身内にもそういう患者がいたことを話してくれました。

私が新人で和歌山で仕事をしていた頃です。入社3か月目に田上さんは四国松山から転勤で和歌山へ赴任してきました。

役職は支社の管理職です。

赴任する前にこの男の噂が伝わってきていました。まさに狂人のような男として恐れられていました。

赴任当日の朝、朝礼時間になっても田上さんは現れません。

全員背筋を伸ばし緊張感の中で待っていると我々の背後の扉が開いたかと思うといきなり挨拶もなく、

朝礼が始まりました。度肝を抜く朝礼で不安の中でテリトリーに向かって飛び出して行った事を

昨日のように覚えています。

人の心を揺さぶり人をその気にさせる。 この男は初日の出会いから営業マンの心臓を鷲掴みにしたのです。

今日は契約をとらないと帰れない、どうなるかわからないという一日の始まりです。

私は正直この管理者の下では務まらないと早くも感じた瞬間でもありました。

しかし、私の予想は裏切られました。

この男は狂気じみたところもあったのですが彼から発する訓示は飛び込み営業マンにとってその日の戦いを

奮起させる得体の知れない言葉が飛んできます。

他の営業マンはこのプレッシャーに耐えきれなくてテンプラオーダーを出す者もいました。

また田上さんはそれを許し見て見ぬふりをしています。

私も最初は耐えきれないプレッシャーの中で必死に契約を追いかけていましたが、日々田上さんの人柄に触れていく中で

プレッシャーよりも心地よい気分で仕事ができている自分に驚きを感じていました。

そんなある日の夜、仕事が終わりラーメン屋で田上さんと飲んでいると田上さんが私に言いました。

お前真面目やな、お前みたいな営業マンとは出会ったことがない。みんな苦しまぎれにテンプラオーダーを

出して潰れているがお前は1本もない。全て工事まで完了しているには驚きだと言います。

しかしこの職場で長く続けるにはテンプラオーダーも必要悪だと教えてくれました。

その夜の言葉は優しく私の心に伝わってきました。私の人生の中で出会った事のない男です。

普通のサラリーマン人生を送っていたら巡り合っていない男だったと思います。

訪問販売の職場は玉石混交でいろんな男達が集まり消えていきます。

その男たちがしのぎを削って戦い勝ち上がっていく中でダーティではあるが魅力的な男が管理者として存在していました。

残念ながら彼の評判はあまりよくなく、残念ながらある事で社長の逆鱗にふれ解雇される事になりました。

最後の勤務地は名古屋だったのですが、解雇された時にもまったく金がなく大分へ引っ越しをする費用もない状態でした。

私に連絡が入り家族の引っ越し費用30万を貸してくれと言われました。その金は返ってきてはいませんが

私にお金には変えられない大切な事を教えてくれた男でした。

人は彼の事を悪く言います。私は男の優しさを感じさせてくれた人だったと今でも思っています。

その後、家族と離婚をし亡くなったと聞きました。

 

 

 

 

 

 

 

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