飛び込み営業マン 現場で体験した冷や汗が出る恐怖体験2章。
奈良支社に転勤をしていた頃の話しです。
その日は三重県名張市で飛び込み営業を行っていました。
私のチ-ムと山下のチ-ムと同じテリーでランダムに打ち合いをしていました。
他のメンバ-も含めて5人です。
築年数10年前後の住宅街での飛び込み営業です。
テリトリー設定が上手くいきチ-ムでかなりオ-ダ-が上がっていました。
気を良くした私達はこの勢いでさらに契約を求めていこと思っていました。
営業活動は波に乗る事がすごく大事です。
早い話しメンタルが売上にかなり左右します。
夕暮れ近く、ある平家の立派な家が私の視界に入ったので飛び込む事にしました。
飛び込む前に遠くでこちらを見ている山下の姿が一瞬目に入りましたが
気にもせずに突撃をしました。
玄関口から『こんにちは!』と威勢よく声をかけたところ
あっ! と言いながら奥様がどうぞと言います。
主人が中にいるので上がって下さいとの事です。
座敷に通されると床の間に何故かいくつものちいさな提灯がズラリ。
部屋には額縁がずらりと飾られた着物姿の男たちの写真です。
他にも飾り物と置物があります。
普通の家には置いていないものばかりです。
その空間は別次元の雰囲気が漂っていました。
そうです。
ここは任侠さんのお宅だったのです。
ご主人が私を待っていました。
座敷に通され今更逃げるわけにもいかず、
ここは開き直ってクロ-ジングを仕掛けました。
そしてすんなり契約となったのです。
肩透かしにあったような気持ちでいると
横で奥様がものすごく喜んでいます。
ご主人曰くお宅の営業マンが先ほど来て若い者に説明をしたらしいが
スタスタと帰ってしまったよ。
で女房にその事を話すと以前からソ-ラ-は設置したいと
考えていて残念がっていたんだ。
そう思っていたところへ再びお前さんがまた飛び込んできたと
笑みを浮かべながら説明をしてくれました。
契約書に印鑑と署名をいただいて
すがすがしいしい気持ちでそのお宅を出ました。
住宅街の坂道を下っていると脇から
山下さんが駆け寄ってきて心配そうな顔でおいどうだった?
あそこのお家はやばかっただろうと私に言いました。
そうとうやばかったですよ。
太陽熱温水器2台連結の契約をいただきました!
私は笑顔で最高のお客様でしたと答えました。
それもクレジット一括払いでした。
山下さんは本当か?
俺はヤバイと思い外見でお客様を判断してしまい早々に退却したんだ。
それでお前が入宅しているところをみかけたので
ヤバイと思ったが時既に遅くお前は入ってしまい
心配をして俺はここでお前が出てくるのを待っていたんだぞ。
山下さんには心配をさせてしまったのですが、
このご夫婦は本当に礼節礼儀に欠けることなく
私のような営業マンを受け入れてくれました。
忘れる事ができないお客様になったのです。
いいお客様だったのでクレジット契約の審査を少し心配をしましたが
一発OKでした! 納得です。
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